IF…
もしも全ての竜を
追っていたら…？
（※実際にはありえません）

　それは、むかしむかしのお話。

　冒険者の集まる、コロナの街に現れた、一人の冒険者の物語……。

　かえると一緒に住んでいることで有名なその冒険者は、毎日一生懸命に自分を鍛えていました。

　なぜならその冒険者は、実はとても恐ろしい、竜の呪いにかかっていたからです。

　その呪いを解くために、冒険者は自分を研きながら、コロナの街で出会った仲間と共に、情報を求めて冒険に出る日々を送っていました。

　そうして半年が過ぎた頃、冒険者の部屋に賢者が訪ねてきました。

　賢者は冒険者が呪いでかえるの姿になっていたことを見抜き、これまでも呪いを解くために、さまざまな手助けをしてくれていたのです。

　もうそろそろ、自らの運命を決めてもいい時期だろう、そう言うと賢者は、冒険者に尋ねました。

「おまえは、何が一番大事だと考えておるのか？」

　冒険者は、迷わず答えました。

「己を研ぎ職業を極めつつ、仲間と交流し友好を深め、そして人々を助け名声を高めること」

　……賢者は、もう一度同じ質問をしましたが、冒険者の答えもまた、同じでした。

　賢者は厳しい顔をしたまま、聞きました。

「本当に、それでいいのだな？」

　冒険者が迷わず頷くと、賢者は顔をしかめたまま言いました。

「……そうか、わかった。
　おまえの進むべき道は定まった」

　そして賢者が姿を消すと同時に、冒険者の部屋のドアが、ノックされたのでした……。

十月某日
＜酒場＞

アルター：
なあマスター！
あいつ、見なかったか？

マスター：
ああ、あいつか？
あいつなら今、カナ山に出かけてるぜ。

アルター：
カナ山に？ちょっと待てよ、
この前もフェニックスのヒナ探しに
行ったばかりじゃねーか！

マスター：
ああ、その前もレティルと
一緒に竜を探しに行ってたな。

今回は、竜を見たって情報を
レラと一緒に
確かめに行くんだとさ。

アルター：
…ったく、
せっかく天気がいいからまた洗濯
手伝ってもらおうと思ったのによ。

しかしあいつ、
そんなに出かけてて大丈夫かよ。

この前は政務室の誘拐事件、
それにオレといっしょに
月のしずく探しに行ったって言うのにさ。

マスター：
…ああ、そう思うがな。
あいつも自分の呪いに関することだから、
必死なんだろ。

何せ呪いが解けないと
自分の過去もわからない上、
かえるに戻っちまうって言うんだからな。

どうしても、必死になるだろ。

アルター：
………そっか。

よし！

マスター：
おい、アルター、どこ行くんだ！

アルター：
裏山！

あいつの力になれるよう、
今から剣の練習に行ってくる！

あいつが帰ったら伝えてくれよ！

また焼肉おごってやるし、
いつでもおまえにつきあうから、
絶対声かけろよってな！

じゃーな！

マスター：
………。

…まったく、元気のかたまりだな、
アルターは。

しかし、焼肉か…
これであいつへの伝言、３件目だったか？

……冒険から帰って来ても、
なかなか休めなさそうだな、
あいつ。

11月某日
＜スラムの酒場＞

常連客：
はぁ…。
マスター！もう一杯！

マノン：
…おい、飲みすぎだぞ！
いいかげんにしとけ！

常連客：
だーってよぉ
このところルーちゃんの顔、
全然見ないんだぜ？

これが飲まないでいられるかよー。
うぅ…まずい。

マノン：
当たり前だ！
それだけ飲んだらどんな酒でも
まずくなるに決まってんだろ！

常連客：
…マスター…

マノン：
なんだ、帰るのか？

常連客：
……またルーちゃんと
ケンカしたんじゃないだろうなぁ？

マノン：
バカ言うな、
冒険だよ冒険！

常連客：
冒険ったってさぁ…もう20日ぐらいは
ここにいないじゃねーか…。

普通、冒険って言ったらー…
どんなに長くても２週間だろ？

…やっぱりマスター、また
ルーちゃんのことを……。

マノン：
いいかげんにしろ、
本当に冒険だよ！

今回は遠いシェスナの方に
行ってるから、
時間がかかってるだけだ！

常連客：
…シェスナぁ？
この前は遺跡に行くーとか
話してなかったか？

………

やっぱりマスター、
オレにウソついてんだろぉ……。

だまされないぞー！
ルーちゃんを出せルーちゃんをぉっ！

マノン：
…おい、いいかげんにしろ！

常連客：
うあっ！！

…うぎゅー…

マノン：
ったく……。

常連客：
…うう…ルーちゃん……

マノン：
………ああ、もう泣くな。
本当に冒険だ。

知ってるだろ？
呪いにかかった冒険者。
ここにもよく来る、あいつだ。

常連客：
……あぁー……。

マノン：
あいつが竜の噂となれば、
どこにでも飛んでいくから、
ウチのルーもそれにつきあわされてるんだ。

常連客：
…なぁにー？

…まさかルーちゃん、
そいつのことを……？

マノン：
あー、ウチのルーだけじゃない！
このコロナの街の冒険者のほとんどが
かわるがわるあいつと一緒に冒険に出てるんだ。

だから長くコロナを
開ける場合もあるんだ！
わかったか！？

常連客：
………ぐー………。

マノン：
…寝てやがる。
まったく、こいつは……。

だいたい、変なことを言いすぎだ。
ルーがあいつのことを
どうこうだなんて……

ルビィ：
にゃー？

マノン：
……おお、ルビィ。
ここに来てたのか。

ルビィ：
にゃーん。

マノン：
よしよし、ルーも
もうすぐ帰って来るからな。

ルビィ：
にゃー。
ゴロゴロゴロ……。

マノン：
……そうとも、すぐ帰ってくるさ。
すぐ、帰って来るとも。

あいつと一緒に冒険に行って
そのまま帰ってこなかったりしたら……
オレは、許さんぞ。

そうとも、だいたいあいつは他にも
いろんなヤツと仲よさげに
してるんだ。

…ルーだけならともかく、
今の状態じゃ、
絶対ルーは渡さんとも！

ルビィ：
にゃ、にゃー……ん？

２月某日
＜魔法学院＞

スタット：
…おや、マーロ。
久しぶりですね。
もう冒険から帰っていたんですか？

マーロ：
スタット先生。
ああ、昨日
帰ったところだよ。

スタット：
それはそれは。
どうでした？
今回の冒険は。

マーロ：
別に、なんてことなかったよ。

スタット：
本当ですか？

マーロ：
当たり前だろ。
あいつとおれがいたんだぜ。
どんなことだって、たいしたことじゃないよ。

スタット：
なるほど。
それで、どんなことがあったんです？

何でも今回の冒険は
とてもすごかった、と
街の噂で聞きましたけど。

マーロ：
……本当、たいしたことなかったよ。
……ただ。

スタット：
ただ？

マーロ：
世界征服してやるー
とか言う鎧の男に目つけられて
マンティコアとケンカしただけさ。

スタット：
それはそれは。
大変でしたね。

しかし、そうなると
あの人も大変ですね。

この前は伝説の聖なるお守り、に
認められたと言う話では
ありませんでしたか？

マーロ：
ああ、でもあいつも大変だけど、
ロッドもかなり大変だぜ。

昔の仲間の街が、悪い領主に
支配されて危ない、とかで
シェスナ地方に呼び出されたかと思えば、

ロンダキオンを直せるのは
ロッドだけって話になって、
今はそれの修復に一心不乱だ。

もう大忙しだよ。

スタット：
…本当に、大変ですね。

マーロ：
あいつもな、
一つの竜にしぼればいいんだけど、

一度首つっこんだ以上、
どれも放っておけない、なんて言うしさ。

他にも事件や依頼があれば
片っ端から手を出すし。

…そのうち、
体調崩さないか心配だよ。

スタット：
…そうですね。
マーロ。

マーロ：
……なんだよ、急に改まって。

スタット：
…大事な仲間の…
あなたのお友達の、
力になってあげなさいね。

きっとそれがあなたにとって、
一番の勉強になるはずです。

マーロ：
……なに言ってるんだよ、
スタットおじさん。

……当たり前だろ、
そんなの。

スタット：
……そうですか。

そうですね、余計なことを言いました。
…では、そろそろ
授業の準備をしましょうか。

マーロ：
はーい。

スタット：
おや、いい返事ですね。
それなら、この課題も
軽くこなせるでしょう。

マーロ：
……
スタットおじさん、
この山って…？

スタット：
先生、です。

ずいぶん、授業をあけていますから、
その間のことを考えれば、
こうなりますよ。

大丈夫、あなたなら
すぐに終わりますよ。

大事な仲間の冒険に
つきあうためにも、
早く終わらせましょう、ね。

マーロ：
………。

3/31
＜アトランティーナ・青の神殿＞

ジェイヴァ：
…よくぞ、戻って来た、我が子よ。

あの時……湖に毒が流されたとき、
幼いおまえをリュウベンの手から逃すため、

私にしか解けない呪いで、
その身を人の子に変えて記憶を封じたが…。

よくぞ自ら戻ってきてくれた。
そのうえ、心より信頼できる仲間と共に
私を救ってくれるとは……。

これほど、嬉しいことはない。

私はこれから、この神殿で皆を守ろう。
我が子よ、おまえは地上に戻り、
このアトランティーナの復興を……

……なに？

まだ、やらなければならないことが
残っている？

そうか……。
では、私がおまえを送ってやろう。

我が子よ、私はここでおまえの帰りを
待っている。

どうか、すべてが終わったら、
ここに戻ってきてくれ。
では、またな、我が子よ……。

＜コロナの街・鍛冶屋＞

レティル：
…！
どこへ行ってたの！
捜してたのよ！

……アトランティーナに？
まあ、悪い領主を倒して、
呪いが解けたの？

よかった。
それも心配だったけど……。

……ああ、でも、
とにかく、こっちも大変なの！

完成したロンダキオンがなくなっていて、
それで、レオンが親友の仇を討つために

ロンダキオンを借りる
って手紙を残して、
どこかへ行ってしまったの！

だけど、ロンダキオンを扱えるのは
レオンの親友か、あなただけって言うし……
このままじゃ、レオンが……！

……なんですって？
あなたが、レオンの親友で、

赤い竜に呪いをかけられ、それで
記憶を失くしていたですって？

そうなの……
それなら、とにかく…
早くレオンを追いかけましょう！

レラ：
ちょっと、待ってちょうだい。

レティル：
レラ！

レラ：
捜したわ。
私もあなたに用があるの。

…流れ星…神竜の鏡のカケラが、
聖なる森に落ちたらしいの。

おそらく最後のカケラよ。
今日こそ、神竜が復活するかもしれない。

おそらくリザリアたちもそのカケラを
狙っているわ。

急ぎましょう、今すぐにでも
行かないと。

レティル：
ちょっと待ってよ！
あたしの方が先でしょう？
こっちは人の命がかかってるのよ！？

レラ：
それはこっちだって同じだわ。

世界征服を狙うリザリアたちに
鏡が渡ったら、それこそたくさんの
人間の命が危ないじゃない。

それに、こっちは行き先が
はっきりしてるけど、
あなたの方はどうなの？

どちらも急ぎなら、
どこに行っていいのか
わからない方よりは、

まず行き先が確定してる方を
優先するべきじゃないの？

レティル：
……確かに、レオンの手紙には
行き先が書いてなかったし、

赤い竜もウワサばかりで、
実際にどこかで目撃されたって
証拠はないけれど…でも…！

レラ：
あなたの気持ちもわかるけど、
こっちも一刻を争うのよ。

…行きましょう！
早く流れ星を追わないと。

レティル：
………
……待って！

レラ：
…何かしら、
まだ、不満でも？

レティル：
あたしも行くわ！

レラ：
あなたが？

レティル：
ええ。

少しでも早く
その鏡のカケラを取り戻して、
レオンを追ってもらうの。

いいでしょう？
イヤとは言わないわよね？

レラ：
…別に、私はかまわないけど。

レティル：
じゃあ決まりね。
さ、行きましょう！

レラ：
……なに？
まだ準備が済んでないですって？

仕方ないわね、わかったわ。
私、ここで待ってるから、
早く準備して来てちょうだい。

レティル：
早くお願いね、
頼んだわよ！

ロッド：
…大変だな、おまえも。

久々に修羅場ってモンを
見せつけられた気がするぜ……。

ああ、ロディタイトの交換か。
おう、いいぜ、
好きなモン持っててくれ！

…なんだ？
その不思議そうな顔は。

なに？
手持ちのロディタイトより
いい武器だって？

……気にすんな、礼だよ。

聞いてるぜ、アトランティーナを……
リンの故郷を助けてくれたってな。

……行ってこい。
それで、おまえの運命と戦ってきな。

困ったら、いつでもオレを呼ベ。

おまえが呼ぶなら、
たとえどこにでも駆けつけて
やるからよ！

＜フロスティ・神竜の間＞

リザリア：
…………まさか、ここまでの、
力を持っているとはな。

レラ：
これであなたの野望はすべて
ついえたわ。
もうあきらめなさい。

レティル：
そうよ、こっちは急いでるの。
今から、レオンと赤い竜を探さなきゃ
いけないんだからね。

リザリア：
………レオン……？
赤い竜……？

……なるほど、行く先々で
見かけると思ったが……
そういう、ことか。

レティル：
……なんですって？
あなた、何か知ってるの？

リザリア：
………ううっ……！

レラ：
！？
なに？この青い光は……！

レオン：
……リザリア！

レティル：
レオン！？
いったいどうして
こんなところに！？

リザリア：
………おまえは……！
まさか、こんなところで
出会うとはな……。

レラ：
……ちょっと、
どういうことよ！

いったいあなたたちには
どんな関係があるの？

レオン：
……それは……。

レティル：
お願い、教えてちょうだいレオン！
どうしてあなたはここに？

あなたは赤い竜を追っていたんでしょう？
赤い竜とこの男は、
どんな関係があるの？

レオン：
レンフレーテ……きみは、
覚えていないんだな。

レティル：
……どういう、こと？

レオン：
この男は…リザリアは……
かつて、私と共に赤い竜と戦った、親友だ。

レティル：
……なんですって？

…ちょ、ちょっと待って！
おかしいわ、そんなの！

だって、あなたの親友は、
ここにいる……！

ロンダキオンだって、そうよ！
ロンダキオンが選んだのは、
リザリアじゃないわ！

なのに、どうして……。

リザリア：
……ロンダキオン、か。
なつかしい……。

まさか、
再びその輝きを目にする日が
来るとはな…。

レオン：
……リザリア。

(リザリア・ロンダキオンを手に取る)

レラ：
…！
なに、これは…！

レティル：
リザリアの手の中で、
ロンダキオンが……光ってる？

？？？：
……かつて、その男は、
ロンダキオンに選ばれたほどの……
勇者だった。

リザリア：
この、声は……！

レラ：
…！
チビドラ？

チビドラ：
だが、赤い竜は滅びず、
ロンダキオンは、やむなく自らの命と
引き換えに、赤い竜を封じた。

だがその封じる器として……、
この男の身体は使われてしまった……。

レティル：
そんな……！

チビドラ：
本来、ロンダキオンが完璧であれば、
この男の心身が
蝕まれることはないはずだった。

だが、戦いの中で傷ついたロンダキオンと
リザリアの心身では、赤い竜を完璧に
封じるにはいたらず……

身体は異形と化し、
赤き竜の悪意と意志に…
ひぎずられてしまったのだ……。

レティル：
待って！
じゃあ、この人は？

この人だって、
ロンダキオンも使えるし…
レオンの親友は、自分だとも言ってたわ！

それはどう説明するの！？

リザリア：
……ロンダキオンは、
時代を超えて選んだ勇者に、
その宿した力と、先人の知恵を…心を、貸す。

そのために、おそらく夢か何かで
私の記憶を見てしまい、

自分の記憶とごっちゃに
なってしまったのだろう。

……私もかつて、
前の持ち主の記憶を、
夢に見たことがある。

レティル：
そんな……。

チビドラ：
……それが、すべてだ。

……リザリアよ。

……もう、終わりにしないか。
神竜は……私は、すぐに蘇る。

今はこうして息子の口を借りて
話しているが、それももう、終わりだ。

私が蘇る前に、ここを立ち去れ。
そして、二度と私の力を
狙おうなどとは考えず……

旧友たちと、静かに暮らせ。

リザリア：
……竜が、余計なことをペラペラと。
そのうえ、私に情けをかけるだと？

言っておくが、私は赤き竜に操られて
こんなことをしたわけではない。

私はただ、私自身のために、
この世界を欲したまで！

弱き者を傷つけ、愚かな者が上に立つ世界を、
我が手で、我が力で
変えてやろうとしたまでだ！

それが間違いと言うのなら、
このような世界に用はない！

レオン：
リザリア！

リザリア：
さらばだ！レオン！
そして……！

あの世で、また会おうぞ！

レラ：
………。

レティル：
そんな……こんなことって……。
レオン……。

レオン：
…すまなかった。
勝手に、ロンダキオンを
持ち出したりして……。

赤い竜のウワサを追っていたら、
ここにたどりついて……

せめて、私の手で赤い竜を倒して
やりたかったが……
まさか、こんなことになるとは……。

(ロンダキオン、主人公の手に戻る)

レラ：
………とにかく、終わったのね。

チビドラ：
……。

レラ：
……チビドラ？

チビドラ：
……来る。

レラ：
その声は……
神竜様、なんですか？

チビドラ：
……来る。ヤツが……来る。

レティル：
！
な、なに！？
地震！？

レオン：
この揺れは……
まさか！

チビドラ：
ロンダキオンは、リザリアの身体に
赤い竜を封じた……。

だが、そのリザリアが、
自らの命を断った今……！

レティル：
…まさか、よみがえるの！？
あの…赤い竜が！

レオン：
来る！
赤い竜が……フレイスが！

＜戦闘終了後・神竜の間＞

レティル：
終わった、のね？
もう今度こそ、終わりなのね？
今度は黄色の竜とか、出てきたりしないわよね？

レラ：
そうよ。きっと……
きっと、そうだわ。

緑だろうとピンクだろうと、
もう出させるものですか。

チビドラ：
きゅ〜。
もきゅきゅ〜。

レティル：
チビドラ……元に、戻ってる。

レラ：
ということは……
いよいよ……！

(神竜・登場)

神竜：
よくやってくれたな。

赤い竜を倒し、私をよみがえらせたこと、
心から礼を言うぞ。

チビドラ：
きゅ〜。
もきゅきゅ〜。

神竜：
元気だったか、息子よ。

先ほどはお前の口を貸してもらって、
すまなかったな。

チビドラ：
うきゅ〜。

神竜：
私がよみがえったことで、
この城の者の呪いも解けるだろう。

…おや、そなたは…？
……どうやら、私の呪いに
かかったもののようだな。

安心するがいい。
そなたの呪いも、すぐに解けるはずだ。

レティル：
ちょっと待って、確か……
赤い竜の呪い、は勘違いとしても……

あなたの呪いって、
青い竜の呪いじゃなかったの？
まだ何かあるっていうの？

レラ：
いいえ、でも、青い竜は呪いで
人の子に変えたって……
あら？そうだとすると……。

神竜：
……話がこじれているようではあるが……
少し待て。
呪いが解ければ、はっきりするだろう。

関係のないものは、はなれていた方がいいぞ。

(呪いが解ける)

レラ：
……とにかく、よかったわね、呪いが解けて。
でも、どういうことなの？

神竜：
……どうやら、この城に来る以前の記憶が、
まだはっきりしていないようだな。

じっとしていろ、
私の力で、そなたの過去を見てやろう。

……どうやら、そなたは……

青い竜……
ジェイヴァと人間の女性の間に、
竜として生まれたものの、

湖に毒が流され、我が子を守るため、
ジェイヴァに人の子の姿に変えられ、
魔法で少し離れた場所に飛ばされた。

しかしたまたま、その魔法の光景を
人の国の王に目撃されたがために、

神の使いと誤解され、
養子として王宮で暮らし……

そして国交のあったこの城に
連れてこられた時に
自国の一行とはぐれてしまい、

迷ううちに、王族の部屋にもぐりこみ、
リザリアとサリアンの野望を阻止すべく
協力するうちに、

最終的に私の呪いに
かかってしまったようだな……。

レティル：
……ずいぶんと複雑だったのね。

レラ：
……ええ。

竜と人間のハーフでそのうえ
養子とは言え王族で、おまけに二重に
竜の呪いをかけられていたなんて……

世の中ってわからないものね。

神竜：
……とにかく、私の呪いは解け、
この城の人々も、
元の姿に戻っていることだろう。

なつかしい顔も、
こちらに向かっているはずだ。

再会を楽しむといい。
それでは、私は姿を隠すとしよう。
では、またな。

(白龍・退場)

レラ：
……なつかしい顔？
誰のことかしら。

レオン：
……その前に、私に
礼を言わせてくれないか。

レティル：
レオン。

レオン：
ロンダキオンを勝手に持ち出して、
すまなかった。

きみたちのおかげで、
リザリアにも再会できたし、
赤い竜も倒すことができた。

きみこそ、このロンダキオンにふさわしい。
今では、本当にそう思う。
……ありがとう。

レティル：
レオン……その顔……
あなた、もしかして……。

(扉が開く)

？？？：
よかった、きっとここにいると思った！

レラ：
！？
あなた…この人と一緒に
鏡に映っていた……？

？？？：
本当に、そうなんだよね！
よかった、また、会えて……。

セバスチャン：
捜しましたぞ！

レティル：
ちょ、ちょっと…あ、あなたは誰よ？

セバスチャン：
私はかつて、隣国で
この方の世話を
仰せつかっていたものでございます。

十年前、この国に来られたのを最後に
姿を消された時は、
生きた心地がしませんでしたが……

生きていらっしゃったのですね！
どうかわが国にお戻りください！

あれ以来、王やご兄弟の方々は
次々と体調を崩されて……

もはやわが国を担えるのはあなたしか
ございません！
城の者も皆、あなたを待っております！

どうか、どうかこのじいと
一緒にお戻りください！

ジェイヴァ：
待て。
その者はまぎれもなく我が子。

これからは私と一緒に
アトランティーナを復興させると
約束しているのだ。

勝手に
連れて行ってもらっては困る。

レラ：
……あなた、もしかして……？

ジェイヴァ：
失礼、紹介が遅れたな。
いつも我が子が世話になっている。

この子の父で、名をジェイヴァと言う。
今はアトランティーナの湖に居を構え、
職業は……竜をやっているものだ。

以後、よろしく頼む。

レティル：
……竜って、職業になるものなの…？

い、いいえ、それ以前に
どうしてここへ……？

ロッド：
おう、無事だったか！

レラ：
ロッド、あなた、なにしてるの？

ロッド：
なにをって、あんまりおまえたちが
遅いから、様子を見にいきたいって
ラドゥに頼みに行ったんだ。

そしたら他にも
このジェイヴァや仲間が
そろってるじゃないか。

だからラドゥに順番に
送ってもらったんだよ。

レティル：
ちょ、ちょっと待ってちょうだい。
順番に…ってことは……。

アルター：
よっしゃあ！着いたぜ！
おい！悪いヤツってのは
どこなんだ！？

オレがこの剣でぶっ倒してやる！

マーロ：
……おい、状況も確かめず
剣を振り回すなよ！危ないだろ！

ああ、お待たせ。
おれが来たからには、もう安心だぜ。
おれの魔法で、おまえを守ってやるよ。

ルー：
ねえ、大丈夫だったの？
よかったー…もう、心配したんだからね！

で、どうなってるの？
あのリザリアとかってヤツはどこ？
……もしかして、あの黒い髪の人？

カリン：
……ご無事でしたか！？
よかった、おばあさまの水晶でも何も
見えないので、とても心配していたんです。

……まぁ、顔に傷が！
じっとしていてください、
今、私が治します！

シェリク：
ああ、このようなところに！

この城は複雑ですね、
すっかり迷ってしまい、
たどりつくまでに時間がかかってました。

ですが、私が来たからには、
誰にもあなたを傷つけることなどさせません。

さあ、ともに戦いましょう！

デューイ：
遅れを取りまして、もうしわけありません！

姉がいるから大丈夫だとは
思っていましたが…
あなたの無事な姿を見て、ほっとしました。

ここからは、騎士の誇りにかけて、
私があなたをお守りします。

許して、下さいますか？

リュッタ：
あ、いたいた！
おーい！

もう、ここ道が複雑だし、
すっごい人多いんだもん！
おいらびっくりしちゃった！

……ところで、
どうなってるんだい？

なんだかみんなだけじゃなくて
知らない人がたくさんいるんだけど……。
みんな、お友達なのかい？

ミーユ：
お待たせしました。
もう終わってしまったかとは
思ったのですが……

どうしても、あなたの運命を
見届けたく、ここまで来てしまいました。

けれど、どうやら
遅すぎなかったようで、
安心しました。

どうか、これからの旅に、
私も連れて行ってくれませんか…？

ユーン：
……待って！
お願い、旅に出るなら、
わたしを連れていって！

……わたし、あなたのことが
とても大事なの！
あなたとずっと、離れたくないわ、だから……！

ラケル：
ちょっと待ってよ！
ぼくだって、君とはなれたくない！

確かにぼくはまだ子供だけど、
それでもこの気持ちは誰にも負けないんだ！
君のこと、誰にも譲りたくない！

レラ：
ちょっと待ちなさいよ！
それなら私だって…！

こんなに私のことを理解して、
助けてくれる人、今までいなかったもの。
他の誰にも、わたしたくないわ！

レティル：
待ってちょうだいよ！
なんなの、みんなして……！

それなら、あたしだって……！

セバスチャン：
いやいや、なにはさておき、
まずはわが国に戻って王位を継いで
もらわなくては！

話は城に戻ってからゆっくり……。

ジェイヴァ：
待て！
この子の親はこの私だ！

それを勝手に城に連れて行かれた上、
王位継承者などにされては困る！
そういうのは他を当たれ！

セバスチャン：
それを言うなら
10数年前に初めて出会って以来、

この方の世話をし、今まで
捜してきたのは私です！
親と言うのならこっちに権利があります！

ジェイヴァ：
時間の長さで親が決まると
言うわけではなかろう！

だいたいこの子は正真正銘、
私の血のつながった一人子だ！

なんなら白竜に証人に
なってもらっても
構わぬぞ！

セバスチャン：
何を言いますか！
言うでしょう、
生みの親より育ての親と！

ジェイヴァ：
そんな理屈で血のつながりが
否定できるわけでもなかろうが！

チビドラ：
静まれ！

レラ：
……この声は……。

レティル：
神竜……？

チビドラ：
そうだ。

レラ：
……なぜ、よみがえったのに、
またチビドラの身体を
使ってるんですか？

チビドラ：
……人が多すぎて、とてもじゃないが
私が出ていけるスペースが
ないだろう……。

レティル：
……確かに、ね……。

チビドラ：
私の鏡の間でいつまでも騒ぎたておって……
すべては、本人の気持ち次第であろう！

それを本人以外が争って、
いったい何になると言うのだ！

……ジェイヴァの子よ。
ここまで来るがよい。

(台座の奥に行くチビドラ)

チビドラ：
そなたが決めろ。
これから、誰と、どうするか。

そなたは己の力を研き、
仲間と交流し友情を深め、
そして人々を助け続けた。

そなたには、選択する権利が与えられている。

さあ、選ぶがよい。
そなたの……己の進むべき、道を。

「だれと？」

・アルター・マーロ・ルー・シェリク・カリン・レティル・デューイ・レラ・ミーユ・ユーン・リュッタ・ラケル・ロッド・レオン・ジェイヴァ・セバスチャン・鏡の継承者・チビドラ・リザリア・ゾーラ・ジェス・宿屋のかえる

「どの立場で？」

・英雄・ジェイヴァの子・王位継承者・フレイスの力の後継者・鎧の人物・冒険者

「どうする？」

・新たな冒険に旅立つ・アトランティーナを復興する・新たな神竜の国を作る・駆け落ちする・コロナに戻る・かえるに戻る・世界を征服する・世界を滅ぼす

チビドラ＋全員：

……さ　あ　、ど　う　す　る　の　だ　？

　……冒険者が目を開けると、そこには賢者が立っていました。

　あたりを見渡すと、そこは神竜の間ではなく住み慣れた自分の部屋で、自分と賢者、そして同居人のかえる以外、誰もいませんでした。

　不思議に思って悩んでいると、賢者は静かに言いました。

「おまえは、何が一番大事だと考えておるのか？

　本当に、

　己を研ぎ職業を極めつつ、仲間と交流し友好を深め、そして人々を助け名声を高めること…

　でいいのか？」

　賢者の真剣な目に、冒険者は深く考え込み……そして、小さく首を横にふったのでした………。

（以下コメントにつき薄字。読みたい方はマウスでドラッグしてください。）

　ちょっとした冗談、自分でもまさかの第３弾。

　実際のゲーム中では、赤なら赤、青なら青、と主人公の過去や呪いの正体がしっかり決まっていて、選んだルート以外の誰かが出てくることはないのですが、全部を強引に出してみるならどんなルートになるだろう……と思いついて書いてみました。

　青と白は強引に両立したのですが、さすがに赤だと計算が合わないなと、リザリアさんに出ばってもらったり。男女兼用で考えているので、最後までセルディアかサフェルか名前を出さなかったり。おかげで後半まで来るともう男女関係なく告白大会になってしまいましたが。

　あくまでメインシナリオは知っている＆ベストエンディングを基準に書いたギャグネタなので、わかりにくい、イメージがおかしかったらごめんなさい。

　ここまでおつきあい、本当にありがとうございました。