信じる気持ち
(「かえるの絵本スキーに30の御題」作品)

　……なんでも、この世界には３種類の竜がいるらしい。
　けれど、竜によってその性格はさまざまで。

　人や里を襲い、つぶしてしまう、そんな恐ろしい竜もいれば、悪者から人を守る、優しくて力強い竜もいて。
　さらには、神様みたいに賢くて、みんなから尊敬されている竜もいるらしい。

　だから、竜を気にしている人の言い分も、いろいろで。

　会ったら倒す！なんて固く決めてる剣士もいれば、尊敬してぜひ会いたい、できることならそばで一緒に暮らしたい、そんなふうに思っている研究者もいる。

　……とりあえず、今日、竜の呪いを受けてしまっている友だちが、その研究者、レラと行った冒険は、成功したらしい。

　かえるがよかったね、と言うと、友だちはレラが竜の手がかりを見つけて喜んでいた、とうれしそうに語り、かえるにも、レラの喜ぶ顔が目に浮かんだ。

　信じている、けれど目にはなかなか見えない、見つからないものが、世の中にはたくさんある。
　それが正しいと思えるものが、証拠が見つかること――人に認めて、わかってもらえるということは、やはりうれしいことなのだろう。

　ふと、かえるは友だちに尋ねた。
　きみは、何を信じてる？と。

　友だちは少し考えて、それから言った。
　自分が信じているもの、それは……かえるだ、と。

　その後に友だちは、たくさんの人の名前や、ものの名前を言ったけど。

　それでもかえるはうれしくて、友だちに向けて一声ないた。

(from.求めるは真実のみ)

10:森の声を読む

12:あの人はどこにを読む

かえるの絵本スキーに30の御題