シーマンと私〜第一章

はじめに

　「シーマン」とは【シーマン】と呼ばれるキャラクターがプレイヤーとマイクを通して会話し、プレイヤーの言葉に対してシーマンが独自の答えを返す、というコミュニケーションを楽しむ（？）ゲームです。

＜注意！＞

・以下、ネタバレです。間違えて来てしまった方、内容を知りたくない方、また、かなり管理人の地が出てますので、管理人に夢を持っていたい方はお戻りください。

十二月九日―――
　前々から目をつけていたPS2版シーマンを購入。これはそのシーマンとの生活を記録した、ノンフィクションである。

一日目

　一通り説明書を読み終え、とりあえず野生のシーマンを餌付けすることから始めることを知り、四苦八苦の末なんとか野生のシーマン（稚魚）とコンタクトをとることに成功する。
　が、何せ稚魚のため、認識できる言葉が少なく、会話は弾まない……。

　私「……（えーと……）シーマン？」
ヤツ「気やすく呼ぶな」

　……無性に刺身が食いたくなった。

三日目

　何はともあれシーマンを水槽に移し、本格的に飼育を始める。が、まだシーマンは理解できる人間語が少ないため、果たして何が通じるのかわからない。

　私「……（んーと、これはどうだろ？）かわいいね」
ヤツ「今のうちだけだよ。そのうち憎たらしくなるって」

　いえ、既に。

四日目

　大分人語を解してきたシーマン。とりあえずこちらの言葉が通じているのかいないのか、が大体わかるようになったため、かなりプレイしやすくなる。更に、

ヤツ「こうしてみるとさ、オレって可愛くない？……意外と」

の発言の健気さに多少愛情が湧く。しかし。

ヤツ「でさ、お前って男？女？」
の質問に、三度も男と間違われるのでまたムカつく。

　ついでに一日海へかえしてやったため（一回海に行くとリアルタイムで24時間帰ってこない）、エサの虫（こいつらもしゃべる）を「捕まえる→戻す」で言葉のパターンを調べてヒマを潰すことにする。

　が、

虫Ａ「また戻してきたよこの飼い主」
虫Ｂ「ワンパターンだよなー」
虫Ｃ「あんまやることないんじゃない？」
虫Ｄ「ま、そういうバカのほうが俺らもありがたいけどね」
「（全員で笑）」

　……まとめて海へ流してやりたくなるが、あまりに暗いので思い止まる。

五日目

　そろそろ人間語が堪能になってきたシーマン。ついにこのゲームの本題とも言えるような、プライベートな質問を受けることに。

ヤツ「で、お前年は？」
　私「19」
ヤツ「へー一番キレイな時期じゃん。学生？」
　私「うん」
ヤツ「マジか？へっへっへ」

　その笑いはなんだ。生後六日目のくせしやがって。

六日目

　プライベートな質問は続く。

ヤツ「でさ、おまえ彼氏いんの？」
　私「いないー」
ヤツ「そっかー。ま、奥手になっても仕方ないからなー。
　　　若いうちに積極的にぶつかっていけよ」

　……異性（顔）シーマンに向かって出会い頭に
「俺と子孫残さない？」というのもどうかと思うが。

　私「おはなしして」
ヤツ「……お前さ、Ｂ型だろ」
　私「Ａ型」
ヤツ「えーマジ？ふーん……」

　なんだよ。お前にだけは言われたくねぇよ。

七日目

　質問が私個人から家族のことにまで及び始める。

ヤツ「でさ、お前親御さんとはうまくいってんの？」
　私「いってるよー」
ヤツ「そっかー……、まあ親御さんに会ったら言っといてくれよ、
　　　お前の娘、悪い奴じゃないってさ」
　私「……はぁ？」
ヤツ「オレが中に入ってやれるといいんだけどなー」

　いや、だからうまくいってるというのに。
　つかうまくいってないヤツが「シーマンが私のこと悪い奴じゃないって言ってたよ」とか
言えるわけねーだろだいたいさ。

九日目

　９日間が過ぎ、シーマンも立派な（？）魚になったため、そろそろ子孫を残さねばならぬらしい。というわけで、ついにメス（顔）シーマンと遭遇。

ヤツ「ねえねえ、俺と子孫残さない？」
メス「……なあにあなた？」

　……同感です。
　すみません私のしつけが悪いばかりに。

　そんなヤツは一旦放っておき、メスと私の二人（？）で話をすることに。

メス「あなた、自分の魅力ってどこだと思う？」
　私「んー……「真面目」「優しい」「誠実」……かな？」
（↑というか他のことを言おうとしたら勝手にこう認識された）

メス「そう、わかったわ。今日はもうおしまい、また明日いらっしゃい。
　　　じゃじゃ馬娘さん」

　私との会話からなんでそうなったのか、納得できるように教えて下さい。

　自分の育てたシーマンの子孫を残すためとは言え、
あまりにも腑に落ちないメスシーマンとのバトルは続く。

（待ち合わせに遅れた……というか『ここで10分待ってて』と言われたから
その方向を向いたまま、操作もせずに待っていたのに
10分後、当のメスシーマンが画面外から声をかけたため
返事が遅れただけの私に対して。）

メス「あなた……約束を破ったわね？
　　　罰として私がいいというまでごめんなさいと言いなさい。」

　結局十回ごめんなさいと言わされる。
　……何で私がこんな目に。
　自分が息子の見合い相手を一生懸命探す母親になったような気になる。

メス「ねぇ、あなた、男の人の魅力って、何が優先すると思う？」
　私「（全て一定基準を超えていること前提とすれば）１．頭のよさ２．性格３．ルックス」
メス「ふぅん……内面重視ってこと？でもそういう人って、
　　　異性に対してものすごいコンプレックスを持ってるのよねー……。

　　　まあいいわ。あなたのシーマンと子孫を残してあげる。
　　　……じゃあね、妬み屋さん」

　……嫁を殺したくなる姑の気持ちがわかる。

　が、その直後

ヤツ（オス顔）「なんだあの女、いちいちうっせーなー」

　初めてシーマンが天使に見えた。