親愛なるあなたへ

　イザヤールの日記は、無事あなたに届いたかしら？それを願い、この手紙を書いています。

　……たった今、あなたが天の箱舟に乗って、エルギオスさまと戦いに、神の国へ行ったと聞きました。
　あわててオムイさまに話を聞こうと、外から書庫まで戻って来た時、本棚からこの日記が落ちてきたの。……まるでイザヤールが、あなたに届けてほしいと言っているみたいに。

　……ごめんなさい、まずは謝らせて。私、あなたが人間になろうとしていることに、気づけなかった。自分の痛みばかり考えて、あなたの思いに、気づくことができなかった。あなたに言ってあげたいこと、話してあげたいこと、たくさんあったのに。……これでは上級天使失格ね。……本当に、ごめんなさい。

　でも、どうか忘れないで。たとえあなたが人間になっても、ずっとあなたは、私たちの仲間。たとえあなたに、私たちの姿も声も、届かなくなったとしても……私たちは、ずっとあなたのこと、見守ってる。いつでも幸せになるよう、心から祈ってる。……きっと、イザヤールも。

　だから、お願い。……どうか負けないで、生きて帰って。そして、いつか、この日記を受けとってほしいの。イザヤールの言葉を、あなたへの、大切な思いを。

　親愛なる、私たちの守護天使。どうか元気で……幸せで、いて。私たちみんな、いつでもあなたのこと、思ってるわ……。

ラフェット