＜注意！＞

・このページは映画・ハウルの動く城を見た当時、見ただけではいろんなシーンの意味がわからなかった管理人が原作小説「魔法使いハウルと火の悪魔」を読み、「こんな感じかー」とざっくりあらすじをまとめたものです。

・自分がわかりやすくするために、原作小説のキャラやシーンをいろいろ削ってたり、時系列も変えてあったり、よくわからない設定部分も自分なりに解釈したりもしてるので、原作好きでそういうの嫌、もやもやする、イライラする！な方は読まないでください、お互いのために。

・ついでに言うなら映画は見ただけで、細かい設定には別にくわしくないので、原作と照らし合わせたらこのシーンこうだけど、映画の公式設定本とかは違うよーとか言われたら知らぬ！としか言えないのでご注意を。

・「ハウルの動く城」の原作をなるべく映画とキャラ同じぐらいにしてまとめてみた
（※原作にしか出てこないキャラはほぼ削り、時系列などは私が理解しやすいよう並べ替えたりしています）

　舞台は、魔法や不思議なアイテムが普通に存在している世界。
　父親が死んで、父の帽子屋を継ぐことになったソフィーは、修行のために一日中作業場で帽子と過ごすうち、帽子に話しかけるクセがついてしまいます。

　しかし、そんなふうに帽子に言葉をかけるうち、その帽子にかけた言葉が本当になってしまうように。
　ある時「あなたを被るのは心の美しい人。きっとお金持ちの男性と結婚する人だわ」と声をかけた帽子……を被ったご婦人は、本当に玉のこしに乗ることに。
　ソフィー本人は気づいていませんでしたが、ソフィーは結構な魔法の才能の持ち主。ものにかけた言葉を、本当にする力の持ち主だったのでした。

　そんなある日、ソフィーは帽子屋にやって来たおかしな女……悪くて有名な「荒地の魔女」に、わけがわからないまま、呪いをかけられてしまいました。
　気がつけばソフィーは90歳の老婆に。
　これじゃ家にいられないわ、そう思ったソフィーは、人生の運試し、なんて思いながら、あてもなく町を出ることにしたのです。

　あてもなく町を出たソフィー。
　途中、茂みに刺さっていたかかしを助け、「あんたが旅の仲間になってくれたらいいのに」などと声をかけつつ、自分用のちょうどいい杖も見つけた……まではいいのですが、何せ今のソフィーは90歳の老婆。

　日が暮れる頃にはへとへとになってしまい、今から街に戻ってもきっと真夜中。疲れた、今夜の寝床はないものか、と探すうち、ハウルの動く城に遭遇。これを逃してなるものか！と強引に城の中に転がり込みました。

　さて、なんとか城に転がり込んだソフィーは、暖炉のそばの椅子を見つけるや否や、その椅子を確保。
　この椅子は誰にも渡すもんかーなどと思いつつ、やっと腰を落ち着けたその時、暖炉の火がソフィーに話しかけました。

　……その火は、ソフィーが呪いにかかっていること、その呪いについてはソフィーからは言えないようになっていることを見抜き、それからこう持ちかけました。

「自分は火の悪魔、カルシファー。
　ハウルと契約した悪魔だけど、
　ずっとこき使われてロクに自由もないし、この契約はハウルにとってもよろしくない。
　おいらたちの契約も、あんたの呪いと同じように、何を代償にした契約かは言えないけど
　もしもあんたがおいらたちの契約の正体を見抜き、契約を破棄してくれるなら
　おいらたちもあんたの呪いを解いてやろう」

※ハウルにとってもよろしくない、とは後に明かされますが
　人間が長期間悪魔と契約してると、悪魔の比率が大きくなって、その心が壊れてしまう……という理由

　……迷ったものの、他に呪いを解くあてもないソフィーは、その条件をのむことに。
　元から綺麗好きだったこともあり、掃除婦だと言い張って城においてもらうことにして、更に掃除と言う名目でハウルとカルシファーの契約の正体を探るわけですが、なかなか見当がつきません。

　おまけに、ハウルには「綺麗な女の子はすぐ口説くけど、相手が振り向くとすぐ興味をなくす」と言う悪いクセがあり、そのクセのせいで同じように火の悪魔（カルシファーとは別）と契約をした「荒地の魔女」に狙われて。
　それでこんな動く城に住んでいること、そのせいで悪い噂もたくさんたっていることをソフィーは知り……そんな中、王様から「荒地の魔女に関わっていなくなった、王様の弟と、宮廷の魔法使いを捜して欲しい」という依頼を強引に押し付けられます。

　それなのに、ハウルは荒地の魔女に関わりたくない、と言い張り、ソフィーはソフィーで、ハウルの弟子、マイケルの修行に付き合ったときに、言葉を話す、地上に落ちたら死んでしまう流れ星に出会い、それを受け止めそこねて落ち込んだり、かつて声をかけた、あのかかしにストーキングされ、「あんたなんか十倍の速さでここから通り過ぎなさい！」と叫んでなんとかやりすごし……ながらも脅えるなど、なかなかに忙しい日々。

　……だと言うのに、ハウルと来たら、自分の甥っ子の先生、という新しい美女を見つけ、せっせと口説き。
　美女も美女で、そのうち城に勝手にやって来るようになり、いろいろとおもしろくないソフィーはイライラ。
　……なんだかんだと言って、ソフィーはハウルのことを好きになっていたのです。
（※読んでる方からしたらほぼ今まで『このダメ男』と言ってるだけだったのであまり納得できなかったんですが。恋って不思議。）

　そんな風に嫉妬でイライラしていたソフィーですが、ある日、動く城に美女が訪ねて来た時のこと。
　何故か現れた荒地の魔女が美女をさらい、脅迫してきました。
　怒ったソフィーは、一人で杖を持って魔女のもとに乗り込んだのです。

　……自分の力がかかった魔法の杖のおかげで、途中まではやって来たソフィーでしたが、やはり相手は恐ろしい魔女。つかまってしまい、そこで魔女の野望を聞かされます。
　魔女は、行方不明になった魔法使いと王の弟、二人の体のパーツ、そしてハウルの首を組み合わせて、理想の体を作ろうとしていたのです。
　そしていい部分だけを抜き出して、残ったダメパーツで作ったのがあのかかしだと。
　魔女は話すだけ話すと、どこかへ行ってしまいます。
　……なんとか後を追おうとソフィーが努力していたところに、そのソフィーを助けに来てくれた影がありました。

　その影の正体は……かかし。
　かかしは一度力尽きながらも、ソフィーに助けられ、再び命を吹き込まれてから、ずっとこの機会を狙っていたのです。
　……魔女を倒し、本当の身体を取り戻すために。

　そしてかかしとハウルと力を合わせて、荒地の魔女を倒すことに成功しました。
　城から脱出するかかし、ソフィー、ハウル。ハウルは語ります。

　本当は、ずっと荒地の魔女の企みを阻止しようとしていたこと。
　……だがやはり恐ろしい荒地の魔女相手では自信がなく、王の依頼も、繰り返し蹴っていたことを。

　そして、ソフィーがあの美女を助けなくてもよいのか、と聞くと、ハウルは言いました。
　……あの美女の正体は、火の悪魔……荒地の魔女と契約をかわしていた、あの火の悪魔の姿。
　そしてその火の悪魔こそ、長年酷使した魔女の身体を捨て、理想の身体を作り、そこに移ろうとしていたのだ、と。

　城に戻ったソフィーとハウル。
　しかし、そこには火の悪魔ことあの美女が。おまけに火の悪魔はカルシファーからハウルの心臓を奪おうとしているところ。
　そのせいで、ハウルは倒れ、動けなくなってしまいます。

　何とかカルシファーを取り戻したソフィーは、カルシファーに尋ねます。

　あなたとハウルの契約の代償は、このハウルの心臓なのね、と。

　カルシファーは答えます。

　かつて自分は流れ星で、地上に落ちたら死んでしまう運命だった。
　だがそれに同情したハウルは、流れ星を受けとめ、カルシファーも死に脅えたことから……二人は契約をかわし、ハウルは自分の心臓をカルシファーに与えたのだ、と。
　……心臓があれば、カルシファーは生きていけるだろうからと。

　ソフィーは更に尋ねました。

　もしこの心臓を取り出したら、カルシファー、あなたは死んでしまうのか、と。

　カルシファーは言いました。

　ソフィー以外がそうすれば。
　……けれど、ソフィーの言葉には力がある。ものに命を吹き込む、魔法の力が。
　そのおかげでかかしも杖も、力を持った。
　……だからソフィーなら、きっと大丈夫だ、と。

　ソフィーはそれを聞き、言葉をつむぎながら、カルシファーの中のハウルの心臓をつかみます。

「それなら、あんたが千年も生きられますように」と。

　そして取り出した心臓を、ハウルに返して、願います。

「どうか身体に戻って、動いて欲しい」と。

　無事に心臓は戻り、動き出したハウル。
　理想の身体も、新しい心臓も手に入らなかった火の悪魔に、もう手はありません。
　ハウルは火の悪魔からボロボロになった心臓を取り出し、火の悪魔は消滅しました。
　全ての元凶が消滅したことで呪いが解け、ソフィーは若い姿に戻り、かかしもついに真の姿――王の弟と、魔法使い、二人の姿に戻ります。

　そうして全てが元に戻った後、ハウルはソフィーにプロポーズ。
　……これからもこの城で幸せに暮らすことにしたのでした。めでたしめでたし。

・補足いろいろ

※映画の国家間の戦争シーン？はまるでありません。
　もとになったのはおそらくハウルと荒地の魔女の、港町での妖怪大戦争っぽいシーン。
　ただこの妖怪大戦争、途中でめんどくさくなったソフィーとマイケルは、ハウルを待つのやめて帰ってしまいます。

※ソフィーは実は三姉妹の長女で、原作には次女と三女とか、お母さんとかも出てきますし、ハウルの師匠や家族とか、映画とは全然違う役割だけど出てきます。

※ちなみにかかしも、本当はかかしと理想の身体……だけでなく。理想の身体とかかしの他にも、犬とか頭蓋骨とかにパーツ分け・融合されて、それぞれ存在してます。説明ややこしくなったのではしょりましたが。

※ソフィーの残り二姉妹もそれぞれ恋愛相手います。

※映画だと「乙女チック少女漫画ノリ？」印象ですが、原作読むと「ケンカップルのドタバタファンタジーコメディ」って感じ。
　ついでに言うなら最初のころはハウル、ソフィーじゃなくてソフィーの妹口説いて、妹にも軽く毛嫌いされてます。

※妹とか設定とか削ったので省略しましたが、ソフィーが荒地の魔女に呪いかけられた理由は以下。

　もともと、ハウルを狙っていた荒地の魔女は、王の弟と魔法使い、二人の身体のパーツを抜いた残り……で作った犬から情報を聞き出すため、心を読もうとします。

　……しかし、実はソフィーの妹を好きになっていた王の弟。
　その二人の残ったパーツで作られたため、王の弟と魔法使いの記憶が混同してしまい、心を読もうとしても浮かんでくるのはソフィーの妹のことばかり。魔女からしたら大迷惑。

　……何とか情報は探し出した魔女でしたが、さんざん邪魔をしてくれたソフィーの妹。
　腹いせに、彼女に呪いをかけてやろう……と再び犬の心を読もうとしましたが、その企みに気づいた犬は、半分嘘をおりまぜて、ソフィーの妹を浮かべます。

　本当は魔法使いの弟子になっているソフィーの妹……は、帽子屋で手伝いをしている、とウソのイメージを。

　それを真に受けた魔女が帽子屋に行くと、よく似たソフィーが店にいたため……勘違いして呪いをかけてしまったのでした。めでたしめでたし。

2006/9/26