ドラゴンクエスト９
〜星空の守り人〜
評価…Ｄ
あらすじ
人間をひそかに助け、人間の感謝の心の結晶である星のオーラを集める存在、天使。集まった星のオーラを天使界の頂上にある世界樹にささげ続け、女神の果実が実ったとき、天使たちは神の国に導かれるという。見習い天使から守護天使になったばかりの主人公は、さっそく星のオーラを集め、世界樹にささげる。しかし、ついに女神の果実が実ったとき、天使界には異変が起こり……。
長所
- 主人公と仲間の性別・装備をふくめたキャラメイクができる。
- 途中に二回入るムービーが綺麗。
- 前半のストーリーがいい。
短所
- システムがもっさりしていてストレスがたまる。
- メインストーリーの出来が微妙。
- エンディング後の隠しボスと戦えるかが運まかせ、ストーリーの補完が配信で１年後など、ついていけない要素が多い。
コメント
シリーズのファンなので発売日に予約買い＆プレイ。
システムはＲＰＧ。プレイヤーはまず主人公の髪形や顔などをそれぞれ10個のパーツの中から選び、主人公キャラを作成。自分で作った主人公と仲間をあやつり、町で情報を集めたり、敵と戦ってレベルを上げたり、貯めたお金で装備品を買ったりしながら町などで起こった事件を解決、次の町に行きながら、ストーリーを進めていきます。
キャラメイク以外の基本的なシステムはほぼシリーズそのままなんですが……今回、まずそのシステムがいろいろと不便。
セーブが一つしかなく、イベントやムービー回想などの救済処置があるわけでもない。戦闘中、別に意味もなく動き回り、表情も勝手にアップになるので、せっかく作った自キャラのイメージも崩れてしまうし、演出を飛ばすこともできないので、不必要に時間がかかる。タッチペンでの操作性やボタンを押した時の反応が、乗り物を含めて全般に鈍く、歩行スピードも遅い。おまけに話が進み、仲間が増えたりモンスターを避けていると、ますます鈍足になっていくという、驚異のもっさり感。
また、キャラメイクも男女別に10種類の顔や髪型があるのに、実際使いものになりそうなのはそれぞれ多くて５種類程度、グラフィックも開始早々出てきた主人公の師匠の丸いはずの頭に３つほど角がある、シリーズを通してずっとはっきりとした顔立ちだったはずのスライムの顔さえ、崩れていてまともに見られない……などと、悪い意味でびっくりさせられます。
さらに言えば、ストーリーのナビゲーターになり、プレイ中強制でもっとも長くつきあうことになるキャラ……の妖精サンディが、発売当時から10年以上前の一部で流行の外見と言葉づかい……と人を選びすぎる感じで、性格も前半だけでなく全編にわたり主人公の危機を何度も雑に見捨てる、それを見直すようないいところも見当たらない……など、個人的にはとても苦手。わざわざ彼女を見たくない、正直話も聞きたくないがために、楽しみにしてたモンスター図鑑なども本編プレイ中はほぼ見られず。また、マルチプレイやすれ違い通信などで使う、女性主人公のプロフィールの初期設定セリフが「テヘッ」ではじまり「住んでるお！」で終わる、あげく前半での女性キャラの下半身の最強装備がブルーガードという名のブルマなど……確実に大多数にはウケなさそう、自分には「仮に流行だとしても遅れすぎだし、そもそも流行中でも自分は苦手だったような、ごく一部でしか喜ばれてないだろ……な嫌がる人多数な範囲だし、これでＯＫ出した人、誰？」と不愉快にしか感じない悪ふざけも、強制な部分、メインストーリーやってるだけなのにだいぶ目につきました。
それでも……と不満を抱きつつも進めていくと、途中までの、本編と関係ない部分のストーリーは、まだ普通にいい部分もあったのに、メインストーリーが進んだ途端、盛り上がりたいのに盛り上がれないほどの穴の多さが目について、ラストにいたっては「……はい？」と茫然自失。……正直予想通りではあるけれど、それって別に誰一人うれしくない予想だよね？これ本当にドラクエ？ドラドンクエット９とかそういう悪質な詐欺に騙されたんじゃなくて？とＤＳカードとパッケージのタイトルを確認してしまうという、まさかの結果に。
また、クリア後の攻略情報をチェックしてみれば、普通のプレイヤーなら確実に気づくレベルで、メインストーリー中に存在をにおわせた隠しボスが複数いたにも関わらず、それらと会えるかどうかで必要な要素……場所、レベル、ダンジョンの深さなどすべてランダム。ランダムの何乗なのこれ、というプレイヤーのリアル運まかせ仕様、おまけに投げっぱなしのサブイベントおよび本編の伏線が解消されるのが、ランダムに加えて配信のみ、リアルタイムで一年後……との作りには、さすがにあきれはててしまいました。
悪ふざけとしか思えない部分についてはそれぞれの好みの問題もあるかな、と思いますし、システムもこういうペースなんだ、と慣れてしまえばそこはなんとかなります。それに、前半の一部イベントや装備のコーディネートなどは楽しめましたが……細かく設定だけ出したわりにはそれぞれがバラバラのままで繋がらず、まとまらないメインストーリーを改善せずにそのまま出せてしまう時点でどうなの、と思いますし、そもそも環境で可能な人を選ぶ配信、その上で一年待たないと全部のストーリーがわからない、そして仮に一年待てたor一年後に買ったとしても、そのストーリーを楽しむためにはプレイヤーのリアル運任せことランダムとの戦い……というやり方は、いくらなんでもダメすぎるかと。
そしてそれらをプレイしたうえで感想を言うならば、一年待たせた価値どころか、ランダムな運次第という無駄な時間稼ぎにつきあわされただけの価値もなかったです。本編同様、矛盾だらけで意味不明。キャラも設定も崩壊して、結末も「……で？全部見ても『こいつこんなキャラじゃなかっただろ』『あとこのキャラはっきり会えなくなったはずなのになんで普通にここにいるの意味わかんない』『ていうか重要な説明はイベントでわかるように表現しろ、みんなが見られるとは限らない図鑑のおまけでちらっと書いたからいい、じゃねーよふざけんな』な矛盾と不満ばかり、オチさえも投げっぱなしか、最後にいきなり出てきた新設定でなんとなーく解決っぽい？なレベル、もやもやしか残らないんだけど。なんでこれでＯＫ出したの？」と不愉快にしかならない。……おまけに現在は配信自体が終了と、見たい人がいても自力のみでは見ることすらできません。
ドラクエは同時期の他社や他作品と比べてはともかく、少なくとも本編シリーズでは進化し続け、その時点で最高峰のものを提供してくれるゲーム……だと思っていたこちらの期待が大きすぎたのかもしれませんし、グラフィックや配信などの要素は本編のストーリーには直接関係ない、と評価から抜いたとしても、土台となるシステムと、本編のメインストーリーがボロボロで空中分解している状態では、出来が悪い、としかいいようがありません。
システムは問わない、ドラクエと名がつくなら何でもいい、マルチプレイができればどうでもいい、逆にそこまで言われるならやってみたい、むしろ買ってしまったから楽しまなくちゃどうしようもない、という方ならともかく、そうでないならあまりおすすめはできません。
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