ジューンブライドの乙女たち２

〜もしもエンジュが花嫁になったら〜

「結婚おめでとう、エンジュ」
「おめでとー！エンジュ！」
「エイミー！ネネ！来てくれたの？」
「もちろん！だって、あたしたちの仲でしょー？それにしてもエンジュ、そのドレス、すっごいかわいいしキレイだね！本当、すっごく似合ってるよ！」
「ええ、私もそう思うけど……その、エンジュ。……タンタンは、その位置で問題ないのかしら？……なんだか、とんでもない顔で、とんでもない位置に貼りついてるように見えるけど……」
「……動かん、ワシャ、テコでもここを動かんぞ」
「タンタン……」

「もー、タンタンってばー、このままそこでエンジュと一緒にバージンロード進んで、花婿とキスでもするつもりー？」
「……ワシはかまわん」
「……相手がかまうでしょ」
「ワシはエトワールの相棒なんじゃ！エンジュがエトワールである限り、病めるときも健やかなるときも共に助け合うんじゃ！つまり花婿は、ワシごとエンジュを愛するヤツでなくちゃいかんのじゃ！」
「……タンタン……それ、連れ子とかペットの言いぶんだよー？」
「タンタン、その理屈はわかるけど……もし仮に、あなたがエンジュの息子だったとしても、あからさまに式での誓いの邪魔をするのは、よくないわよ」
「…………」
「そーだよ、タンタン。タンタンがエンジュの相棒で、お互いをとっても大切に思ってるのは、みんなよーく知ってるよ？だから、今ここで、あえてそんな顔して、主張しなくてもいいってー」
「……ムゥ」
「……タンタン」

「…………エンジュ……おヌシ、本当に一人で行けるか？」
「…………うん」
「一人でつまらないからって、周りにコショコショしたりせんか？ワシの姿が見えなくても、メソメソ泣いたりせんか？」
「……フフッ」
「コレ、笑いごとじゃない、マジメな話じゃ」
「……うん、わかってる。大丈夫、泣かないわ」
「…………そうか…………なら、しかたないのぉ」
「あっ」

「おヌシ、しばらく肩を借りるぞ」
「うん、いいけど……タンタン、意外と重いねー」
「あら、そうなの？ちょっと失礼……本当、見た目よりずいぶん重いわ。……元が石板のせいかしら。石板全体の重量から比べると、ごく一部だとは思うけれど……」
「失礼なやつらじゃな、ワシャ年寄りじゃぞ、もっと大事に、それこそ可憐な花のように優しく労わらんかい」
「そこはウサギのように、でいいと思うけど……」
「あとお年寄り、それも男性？なら、見た目より重いって言っても、特に失礼にはあたらないんじゃないかしら」
「コレ、そう年寄りの発言のあげあしを取るな。……まったく、さすがエンジュの友達じゃな。エンジュに負けず劣らず、元気があふれおって」
「えへへ、ありがとー」
「……別に褒めとらんわい」
「エンジュ、しばらくタンタン、お預かりするわね」
「うん、ありがと」
「今日のエンジュ、とても綺麗、エクセレントよ。……幸せにね」
「うん、ありがとう、エイミー！ネネ！」
「うん、エンジュ、また後でねー！」
「ほんのちょっとの間だけじゃからな！ワシはまだ認めたとは言っとらんぞ！」
「……そこは認めておきなさいよ、タンタン」

「うぅ……エンジュがワシをこんなフカフカのウサギにしたんじゃからな……責任はとってもらうぞ……」
「何の責任なんだか……」
「そーだよ、責任も何もなくっても、エンジュはタンタンのことが大好きだし、タンタンだってエンジュのこと、大好きなんでしょ？それでいいじゃない。結婚したって、エンジュからタンタンへの大好きが減るわけじゃないんだし」
「そうよ。……たしかに世の中には、結婚して周りへの好きや気づかいが、あからさまに減る人も、いないとは言わないけれど……エンジュがそうじゃないことは、タンタンが一番よく知ってるでしょう？」
「……そんなこと……言われずとも、わかっとるわい」
「……でもまだちょっとスネてるんだね」
「もうこれは『花嫁の父』ね、つける薬はないわ、そっとしておきましょ」
「……おヌシら……そういうことは、ワシに聞こえんように言わんかい」


　その後、式はとどこおりなく行われ……。
　花嫁の父……以上に、石板の神器の精霊、タンタンが大量の涙を流したことが原因で、式場の床が一部破損。……石板の神器の精霊は、長い間、式への出席が禁止になった……とその式場で、今でも語り継がれているそうです……。

Fin.

（以下あとがきコメントにつき注意。読みたくない方は下のリンクか「戻る」機能使って逃げてください。）

　前回書いたもののおまけ。前回に比べたら短くなるだろう、と思って書き始めたら思いのほか長くなりました。一応エトワールちらっとプレイして確認したせいもあるかも。

　ほんのちらっとしかプレイしてないので、実はエイミーやネネが動物やタンタンが苦手設定あったらすみません。がっつりプレイしてセリフ全部見ないとわからない系設定がないとも限らない。……もし苦手設定があったら「ほぼぬいぐるみっぽいタンタンだけは大丈夫」とか「それなりに時間がたってるから、それなりに克服してる」とか脳内補完でお願いします。……うん、まさかの読者まかせ。

　思いつきの仲良し設定の会話文ですが、おつきあい、ありがとうございました。