木星に捧げる鎮魂歌
〜金色のコルダ〜

はじめに…。

・このページは管理人のPC「金色のコルダ」のキャラ・柚木梓馬(通称柚木様)に関する思い出レポです。

＜注意！＞

・以下、ネタバレです。間違えて来てしまった方、内容を知りたくない方、また、かなり管理人の地が出てますので、管理人に夢を持っていたい方はお戻りください。

・「金色のコルダ」シリーズのキャラクター、およびゲーム設定を知っていることを前提で書いてます、ご注意ください。

・セリフは基本意訳です。細かい点で本編と違っても気にしないでください。

・PC版をもとにした体験談のため、一部PS2・PSP版と内容が違う可能性があります。ご了承ください。

・内容上、くだけた表現や絶叫、キャラへの怒りなどが文中に普通に使用されていますので、そのような表現が苦手な方、および柚木梓馬が真面目に好きな方はご遠慮ください。

タイトル

あらすじ

愛とは後悔しないこと

二股プレイでの、ある放課後の悲劇

友情ってなんだろう

二股プレイでの悲劇・その２

　〜愛とは後悔しないこと〜

　それは金色のコルダプレイもそろそろ中盤、およそ五週目のことでした。

　初プレイ時はその難易度に、何がなんだかわかることなく、ただひたすらに最初の目標として提示された、コンクール優勝に一直線。誰とも恋を育てることなく、見事優勝・ノーマルエンディングを迎えた私でありましたが……さすがに五周目ともなれば話は別。

　親密度の上げ方も、攻略サイト・攻略本の見方もよくわかり、一人のエンディングを追うだけでは、時間を手持ちぶさたにすら感じていた、そんなある日のことでした。

　とりあえず、と名前を曜日になぞらえて、曜日順にキャラを落としていたこの私。なので五週目の本命は、当然「金」で金澤先生。

　しかしただでさえ教師キャラ、生徒に比べるとどうしても多少物足りないイベント数。そこでセカンドと言うか何というか、ぶっちゃけ二股相手に選んだのが、柚木梓馬こと柚木先輩。

　曜日順に落としていたため、「木」の字を持つ柚木様と、既にイベント・エンディングはひとまず達成済ではありましたが、その優しい先輩顔の裏に秘めたＳっぷり、そしてＳな中に時折のぞかせる優しさに、私の心はすっかり虜。あなたこそ私の心の幸い。

　……などと多少浮かれつつ、本命の金澤先生を最優先、そして空いた時間に柚木様に声をかけ、さらに間にはさまれる金澤先生とのイベントのため、できるだけみんなとも仲良くし、平和な二股＆八方美人ライフを送っていた、そんな放課後のことでした。

　コンクールもついに４／４回目こと、最終セレクション期間となりまして。プレイも終盤、成果は上々。本命の金澤先生の恋愛イベント４／４段階を起こすべく、条件を満たしているか、しっかりステータス画面で確認し、屋上の金澤先生に声をかけました。

　金澤先生に曲を弾いてくれと頼まれて、とりあえず攻略サイト様の情報どおりの選択肢を選び、演奏するマイ主人公こと日野香穂子。

　いい感じに話は進み、最後の選択肢が画面に登場。

　・「好きだと告白する」
　・「告白しない」

　この二つの選択肢を前に私、モニタの前で考えます。

　――……まあ、「告白する」が妥当だろう。

　多少例外はあるものの、これはネオロマ。この手の選択肢、それも恋愛イベント最終段階ときたら、「告白する」方がいいに決まっているはずだ！

　と確信しながら、「告白する」を選んだ私。

　さて、どんな反応見せるかなーと思いながらモニタを見つめる私の前で、金澤先生は言いました。

　「そ、そういうのはまずいだろ、勘弁してくれ！
　　……ありがとな！」

　と言葉を残して立ち去る先生。

　――ええええ！？なに！？ここに来てイベント失敗！？

　まさかの反応に、思わず驚き慌てる私。

　……よくよく考えてみてみれば、もともと何が何でも最終セレクションまではエンディングがないこのゲーム。仮に告白したところですぐにエンディング、などというわけもなく。
　そのうえ相手が教師となれば、「実は俺もだ！」などと言う反応が返ってこないのは、当然といえば当然の結果、なわけですが……。

　そこまで考えのいたらなかったのが当時の私。とにかくあわててステータス確認。キャラとの親密度、および恋愛イベントの成否が確認できるこの画面。

　成功ならばキャラの写真が少しずつ笑顔になるし、失敗なら写真がなくなってるはずだ！とあわててステータス画面を開いた……まではよかったのですが。

　教師キャラと言うことで、順番的には生徒キャラの後に位置する金澤先生にたどりつくまで、たった今まであったはずの、生徒キャラたちの写真が、なんかのきなみなくなっている！

　――え？ちょっと待って、え？なにこれ？

　たどりついた金澤先生の写真は笑顔。親密度も下がることなく、むしろ上昇。ああ、とりあえずあの反応で正解なんだ、はあ、よかった……と一息ついたものの、改めて確認した生徒キャラのステータス画面。

　最大1000近く、そんなに仲良くなくても100〜200、柚木様にいたっては500や600を越えていたはずの親密度が、のきなみ１ケタになっている！

　当然写真も何もなく、ちょっとこれはどういうこと！？と初の経験に焦る私。思わず屋上から外に出て、みんなに声をかけに行くけれど「俺は特に用はない」やら「話しかけられても困る」やら、明らかに冷たいその反応。

　なんじゃこりゃああああ！と叫びつつも、なんとなく状況の分かった私。

　――そ、そうか……。
　　　今の金澤先生への告白イベント起こすと、他のキャラの親密度、初期段階に戻っちゃうのね……？

　普段のネオロマ経験からいけば、あまりなかったその状況に、多少混乱しつつも少し納得。最後の最後、一応確めるそのためにと、本来恋愛イベント３／４段階まで進めていた柚木様に話しかけたその時、事件は起きました。

　「どうしたの、日野さん」

　――ああ、名字を呼び捨て、名前すら呼びそうな状況だったのに、
　　　デフォルトの名字＋さん呼びに戻っているよ……。へこむなあ……。

　しかし、そんなへこみなど、次の言葉の前にはかき消されます。

　「次の演奏のことで悩んでいるなら、

　　先　生　に　相　談　してごらん」

　――ひ、ひ、ひ、ひいいいいいっっっ！

　ししし知っている！この人、すべてを知っているよ！
　すべてを知った――金澤先生に接近しながらなおかつ自分にコナかけて二股をかけてた――その事実を知ったうえで、笑顔でこんなこと言ってやがるううう！

　……嗚呼悲しきかな勘違い。

　それがただただ単純に、初期段階・デフォルトのセリフで、特別意味がないことが気付くのは、金澤先生エンディングからしばらく後、闇討ちを恐れさんざん帰宅時に後ろを振り返るほど、怯えた後のことでした……。

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〜友情ってなんだろう〜

　さてさて、それからしばらく経って。

　一部トラウマは残しつつも、曜日順のプレイは終わり、王崎先輩と女の子二人も落としつつ、とりあえずキャラエンディングは全員分見た、その後の話です。

　とりあえず、は見たものの、スチル欄はかなりの空白、エンドも半端。中には最上エンドこと「珠玉の時間」が見れていないキャラもいたり、で。……とりあえずはスチルコンプを目指しリプレイしてた、そんなある日のことでした。

　既に周回プレイも２ケタ目。当然優勝当たり前。二股ぐらいはプレイの基本、と魔性の女と化してたマイ香穂子。

　その時も本命メインを火原っちこと火原和樹、そしてこりずにセカンドこと二股相手として心の本命、柚木様に声をかけてた、そんなプレイも中盤戦。

　攻略サイト様の情報もあり、さすがに周回２ケタともなるとこなれたもの。コンクールも３／４回目のその時には、既に本命火原っちとも、毎日下校を約束済。

　順調に日々を過ごしつつ、下校間際の17時50分、柚木様に声をかけたその時、ついに事件は起こりました。

　「……おまえ、毎日一緒に帰る相手がいるのか？」

　柚木様のセリフを前に、うっ……！と思わずもれる声。

　――これはイベント「辞退しろよ」の前ふりだ！

　瞬時に浮かぶイベント情報。思わずモニタの前でかたまる私。

　「辞退しろよ」とは柚木様の恋愛イベント３／４段階目のスチル有イベント。
　下校時に半ば無理やり一緒に車で帰ることになり、『コンクール辞退したら？』などと脅迫されてしまう、かなりおいしいイベント。

　――う、み、見たい！し、しかし、ここでもし「いません」などと答えた日には……！

　と直後の選択肢を想定し、理性と本能で戦う私。

『見たい、見たいよ！貴重なスチルイベントだし！何より相手は心の本命柚木様！
　あああ、これを見るためにいっそ悪魔に魂を売って
　「いいえ、そんな人いません」と答えるべきか……！？』

『いや待て私！確かに見たい、その気持ちはわかるけど！
　しかし既に見たイベント＆スチル！
　さらにここで「いいえ」と答えてしまって、
　火原っちのイベントが失敗になったらどうするつもり！？

　今回の本命は火原っち、当然パラメータに衣装その他も火原っち仕様！
　ここで誘惑に負けてしまって、ここまでの数時間を無駄にしてもいいものか！？』

　……とモニタの前でマウスを押せずに、数分かたまり葛藤する私。

　しばらく頭を抱えて悩んだ結果、私は決めました。

　――ごめん、柚木様、今回は……泣いて！

　イベントは見たい、見たいけど、やはりここまでの数時間、無駄にするわけにはいかないし！もう既にスチルは見たし！ラストプレイには柚木様オンリープレイでしっかり見るから、どうか、どうか今回だけは！

　……と、選択肢を選ぶ前からハンカチなど噛みしめる勢いの、かたい決意を胸に秘め。マウスを押してメッセージを進めた私の目に、驚くべき言葉が飛び込んできました。

　「……なんだ。もう一緒に帰ってる相手がいるのか」

　……え？え？

　今度は逆に焦りつつ、マウスをサクサク押していくと、モニタにうつる『下校時間です。帰りましょう』の文字。

　……しばらくその文字を見た後、私はやっと状況を理解しました。

　――あ、ああ……なるほど……。
　　　既に帰ってる人がいると、自動的にこういう展開になるのね……？

　と、モニタの向こうのこっちの悩みなどどこふく風で、選ぶ間もなくあっさり本当のことを言ってしまったらしい日野香穂子。

　安堵したような、しかし残念なような微妙な心持ちも抱きながら、深いため息などもらしつつ、

「ああ……とりあえず下校イベント見たい人がいたら、
　その人最優先にした方がいいのね、きっと……。
　そうじゃないとこういうふうに断る仕様にされるんだ……」

と攻略に関して脳内に情報を加えつつ、マウスを押して、下校時間です、を消したその直後。

　次に画面に出てきたのは……夕暮れの校門、下校の背景。

　ああ、今日は出てくるのね、このシーン……とランダムで発生する、継続下校相手との一言イベントだと思った私。気持ち「遅れてごめんね、火原っちー」などと内心で軽く呟きつつ、火原を探した私の前に、現れたのは……柚木先輩。

　「やあ、待ってたよ」

　………………………………。

　思わず画面の向こうの主人公以上に無口になる私。

　そんな私をあざ笑うかのように、柚木様は続けます。

　「どうしたの？今日はいつも一緒に帰ってる人が用事で帰れないから、
　　一緒に帰ろうって言ったのはきみじゃないか」

　言ってない言ってない言ってない！

　ていうかそもそも言えもしないよ！いや悩んだことは否定しないし、もしそんな選択肢があったら選んじまった可能性はなくもないよ！？でも言うか言わないか以前に勝手に話進めのはそっちじゃないかあ！

　私の叫びなど届くはずもなく、強制的に車に乗せられるマイ香穂子。

　……車の窓から『ヘルプミーーーーー！』などと叫ぶ香穂子の姿を浮かべながら、モニタの前で私はずっと叫んでいました。

　――こ、これだけは言わせてくれ！
　　　私がいつも帰っているのは、おまえの親友・火原和樹なんだあああああ！

　……たとえ又がけするにしても、自分の器にかなう相手か選ぶべきだと、心の底から思い知った、妖精領地のある日の思い出。