はじめに…。
＜注意！＞ ・以下、ネタバレです。間違えて来てしまった方、内容を知りたくない方、また、かなり管理人の地が出てますので、管理人に夢を持っていたい方はお戻りください。 ・「遙かなる時空の中で」シリーズのキャラクター、およびゲーム設定を知っていることを前提で書いてます、ご注意ください。 ・セリフは基本意訳です。細かい点で本編と違っても気にしないでください。 ・内容上、くだけた表現や絶叫、激しいツッコミなどが文中に普通に使用されていますので、そのような表現が苦手な方、および遙か１が真面目に好きな方はご遠慮ください。 |
遙かなる時空の中で・盤上遊戯……をご存知でしょうか。 もちろん知ってる！という方もいるとは思いますが、基本プレイステーションのみでの発売のため、2022年11月現在、知らない人も、知ってたけど忘れたーという人もいると思うので、手もとのゲームソフトなどを確認しつつざっくりと説明しますと。 遙かなる時空の中で・盤上遊戯とは、『遙かなる時空の中で（１）』の外伝・ファンディスクにあたる対戦すごろくゲーム。プレイステーションで2003年6月発売、ベスト盤が2004年10月に発売。 ある春の日、現代の女子高生だった主人公は、平安京にも似た『京』という異世界に『龍神の神子』として召喚された。元の世界に戻るためには、龍神の神子として力をみがき、京を侵略する『鬼の一族』を倒さなければならない。元の世界に戻るため、龍神の神子を守る存在として選ばれた８人の男性、八葉と共に、主人公は龍神の神子として鬼の一族と戦うことになったのでした……というのが2000年4月発売の「遙かなる時空の中で（１）」本編。 この盤上遊戯は、その外伝、本編メインストーリー中設定……の物語。 龍神の神子として、龍神の神子を補佐する役目の『星の一族』のお屋敷で生活してた主人公……は、ある朝目覚めると、４人になっていた。 ……実はここは敵対する勢力『鬼』の一人、美女『シリン』の術によって見せられている、主人公の夢の世界。実は『シリン』は主人公の体を乗っ取ろうとして術をかけていたのだが、主人公の中に眠る龍神の力が反発し、このようなことになってしまったのだ。 『シリン』を見つけ出して追い出すまで、現実の主人公は目を覚ますことができず、このまま放置すれば『シリン』に体を乗っ取られてしまうかもしれない。そしてその『シリン』は、なんと今いる４人の神子のうちの誰か、残りの３人は本物の神子の一部、分身だと言うのだ。 姿やふるまいは似せられても、龍神の神子としての資質や才能を鬼の『シリン』が真似することは難しい。つまり龍神の神子として４人で競い、もっとも劣ったものこそが『シリン』である……！と、星の一族の末裔、藤姫のもと話はまとまり、４人は自分こそが龍神の神子と証明するため、龍神の神子として、夢の世界で力をふるうことになったのだった……！ ……な感じのあらすじ。もっと細かく知りたければ検索すれば公式サイトも出てきます（2022年11月現在）。システム的にはざっくり言ってしまうと、決まった目標ポイントに達成するまで、１位になるべくいかにポイントを貯めるか……な感じのすごろくゲーム。例外もありますが、基本目標ポイントに達したときに、一番ポイントが高かった人が本物の神子、一番低かった人がシリン、という形になり、エンディングを迎えます。 本編にあたる『遙かなる時空の中で』が和風恋愛アドベンチャーこと乙女ゲーム、八葉と呼ばれる異性の攻略キャラと恋愛イベント・エンディングがあることもあり、もちろんこの盤上遊戯も、この八葉たちと恋愛イベント・エンディングがあり。むしろ個人的にはそれ目当てで、発売日に限定版ことプレミアムBOXを予約買いした私。 遙かのファンディスクは、確かこの盤上遊戯が初めてだったため、多少システムがわからない不安もありながらも、当時の発売日前後、ゲームを始めたのでした……。 さて、プレイ開始から約ひと月。 わからないなりに何度かプレイ、ひととおり目当てだった攻略キャラ全員分の恋愛イベント・エンディングを見て。遊びに来た遙かを知ってる友人に頼んで、対戦プレイをさせてもらったりなんかもして。ある程度、発売当初に考えていたリアル目標をすべて達成した私でしたが……ふと、思いついたのです。 ここまでのプレイで、セーブデータ１は８人の攻略キャラの内２人、セーブデータ２は３人、セーブデータ３は５人……などと、ロードしてまもなくエンディングが見られるような状態……ではあるけれど。どうしよう、８人全員まとめて見られるデータを作ろうかな、と。 イベント回想機能もあるものの、それはすごく細かい……ものではないために。ゲームのクリア目標達成→八葉達からこの主人公こそ本物の神子だと選ばれ、一位に→メインストーリーのエンディング→恋愛エンディング……などという流れまでは、再現できず。 そのひととおり、流れがあるかないかでは、こっちの盛り上がりも全然違い。……そして１位になれなかったけど、２位３位になって支持してくれた八葉がいた場合、該当の八葉と、悲恋っぽくもあるうっすら恋愛・告白エンディング……なんかもあったりするので、それもできればまた見たい。全部含めて、作れるなら８人全員と親しいor親しくなれるデータは作っておきたい……と考え、ふと気づいたのです。 あれ、今まで私、基本1Pキャラをプレイして、残り３人コンピューターことCOM対戦……みたいな形でプレイしてたけど、もしかして、４キャラ全部私が操作すれば、８人全員と１位エンディング、格段に簡単にできるのでは……？と。 たとえばそれまでの１人vs３COMプレイ時、恋愛イベント・エンディングを目指して困ったことと言えば。 ・持てるアイテム数が足りない→全キャラ自分で操ればアイテム交換も自由で他キャラを倉庫代わりにできる→解決！ などなど、すべてが即座に解決する。 また、このゲーム、実は設定上、絶対4人プレイになるために。一人でvs３COMプレイしていると、COMの行動中、延々待たざるを得ないという、ファミコン時代の将棋・囲碁系ソフト……？もしくはオンライン機能のない時代の悲しい桃太郎電鉄……？な、待ち時間多めの退屈プレイになってたことも、４キャラ全部私が操作すればすぐ解決！と気がついて。 なんだよ、もっと早くこうすればよかった、まあ、一応正攻法でほぼクリア・コンプしたんだから、そのうえでそういう楽しみ方に走ってもいいよねーなどと思いつつ、一人で４人操作プレイを開始。４人の名前は１Pから順に「あかね」「アカネ」「茜」「シリン」と、ちょっと既にシリンわかってるけど！？な、非常に分かりやすい名前をつけて。盤上遊戯の、ほぼラストプレイを始めたのでした。 さて、既にコンプ済かつ慣れたプレイヤーの、ある意味非常に効率的なプレイはサクサク進み。 ２〜４Pの協力のもと、１Pのあかねは順調に敵を倒し、八葉たちとの親密度も上げていき、恋愛イベントを次々こなし、次々とエンディングフラグを立てていきました。 対COM一人プレイで待ち時間が長いときは正直ストレスもあったけど、こうやって全員操作できるなら、今回は１P全８人攻略だけど、うまく２P３Pに分担して２〜３位エンディングを３人ぐらい見るのもありかなーなどと思いつつ。１Pあかねが全八葉と恋愛エンディングのフラグを立てた……ところでまずセーブ。 よし、これでひとまずデータは完成した、えーと、この後どうしようかな……などと思っていたとき、事件は起きたのです。 最初の方に言いましたが、このゲーム、例外もありますが、最初に目標ポイントを決めて、それに達した時点でゲーム終了、成績発表。基本ポイントが一番高い人が『本物の神子』、一番低い人が『シリン』……となってエンディングを迎えます。で、その『例外』と言うのが、ゲーム中に現れる『鬼』の首領、リーダー、アクラムにまつわる条件。 鬼の一族であり、リーダー・アクラムを恋い慕うシリン。例え神子に化けていたとしても、シリンが恋い慕うアクラムを倒せるわけがない……！ということで。ぶっちゃけると４人中３人が、たまにマップに出現し、一定時間に倒さないと逃げてしまう鬼の首領アクラム……を倒した場合、倒していない最後の一人こそがシリンだ！となって、そのときの順位に関係なく、成績発表、エンディングを迎えるわけです。 そう、私は何度かのプレイでそのことを知っていて。さらに１P「あかね」を龍神の神子として、八葉全員と恋愛イベントをコンプ、恋愛エンディングのフラグ立てもコンプ。普通に進めば「あかね、自分にはわかる、心から信じられるあなたこそ、本物の龍神の神子その人だ」……などと、８人全員から愛のにじむ言葉を受けて。満場一致、文句なしで神子として選ばれていた、ある意味理想の神子、乙女の夢の世界を実現できていた……にもかかわらず。 「うーん、アクラムあと１回で倒せそうだけど、これ他の３人だと間に合わず、アクラムに逃げられるなー。……元気な４P『シリン』がアクラムの近くにいるし、ここでアクラム倒したところで全体のポイントはくつがえらないし、八葉がとられることもまずないから、とどめのボーナスはシリンに譲ってあげよう！それでゲットしたご褒美アイテムをもらっちゃおう！」 ……などとささやかな、打算あふれる仏心を出したばっかりに。たまたまアクラムを倒してなかった１P神子「あかね」こそが偽神子シリンだ！となってしまい。 あれやこれやという間に、４人の神子は藤姫の館に集められ。３人の神子、そして八葉と藤姫の前で正体を現した１Pシリンは「あたしを龍神の神子と思い込んで、デレデレする八葉どものおかしかったこと！」などと共感できてしまう憎まれ口と麗しい高笑いを残し姿を消して。 残されたのは、信じ、愛した純粋な心の神子……の正体が、敵の化けた姿と知った八葉全員。 神子は悪くない、ただ自分を許せない、頭を冷やす時間が欲しい、などと、８人それぞれ、それはそれはつらそうな、苦しそうな顔をして。中には涙を浮かべる……どころか、大泣きしてこの場から走り去る……のが８人分。……何このとんでも地獄絵図。 八葉全員その場からいなくなり、残った本物の神子３人と藤姫。気持ち静かなお屋敷で、なんかポツンと座りながら、 「さて、気を取りなおしまして……」 と、いっさいの標準顔、普段と何ら変わらぬ無表情で気を取りなおし、淡々と話をすすめる藤姫。 いやいやいやいや！藤姫ちょっと！気を取りなおしてる場合なのコレ！？天真（八葉の一人）とかめっちゃ泣きながら走ってったよ！いいの！？あれマジで死なない！？目についた川とかに飛び込んだりしない！？誰か追って、せめて大丈夫か見てなくていいの！？それ８人分なんだけど！ねえ大丈夫！？ ……などと画面の前のこっちの必死のツッコミなどもつゆ知らず。本来ならば合間合間に意見を述べるはずの八葉がいないことから、それはサクサクと話は進み。残った中でポイント的に一番高かった「アカネ」が本物の神子と選ばれて。とんでもない地獄絵図の後、そして誰もいなくなったエンディングは、それはそれは静かに短く、悲しく幕を下ろしたのでした……。 ほんの小さな出来事に、愛は深く傷ついて、夢見た乙女の逆ハーは、一転して阿鼻叫喚の地獄絵図となると知ってしまった、今も鮮やかに心に残る、夢の世界の悲しい思い出。 |